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2025年8月15日(日本時間)、ボルティモア・オリオールズの菅野智之投手(35)がシアトル・マリナーズ戦で今季10勝目を達成。メジャー1年目の日本人投手として史上10人目の二桁勝利という快挙を成し遂げた。

菅野智之投手の投球フォーム

力投する菅野智之。メジャー1年目で二桁勝利を達成した瞬間(Getty Images)

試合の流れ――”雨”に負けず、ゲームを握ったベテランの間合い

ボルティモアの空は重かった。6回1死一塁で雨脚が強まり、試合は約2時間18分の長い中断。しかし、そこに至るまでの5回1/3、81球、3安打1失点という投球に、今日のゲームの主導権はすでに刻まれていた。初回は走者を背負っても動じずゼロで切り抜け、二回は四球の走者を背負ってからギアをもう一段階上げる。三回、四回はテンポよく三者凡退。五回は先頭の二塁打にも膝を折らない。詳細なイニング別の描写を読むと、球数の管理と配球の緩急に”経験値”が乗っていたことがよくわかる。

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キースタッツと勝因――数字が語る「10勝目」の質

今日の菅野を支えたのは、ストライク先行からのカット&スプリットの縦横。球威一本ではなく、手元でわずかにズラす球でバットの芯を外し続けた。被安打3のうち長打は限定的で、ゴロアウトを積み上げたことで球数は常に先行。APのゲームリポートでも、“5回1/3をシャープに投げ抜いた”と表現されている。

そして攻撃陣も援護。五回の追加点シーンではガンナー・ヘンダーソンの適時二塁打やマウントキャッスルの犠飛で5―0とリードを広げ、降雨再開後の被弾で差を詰められても最後は救援陣が締めた。監督代行もかなり良かった。悪天候の中でも上手く対処してくれたと称賛。コメントはこちらの現地取材が詳しい。

雨天中断時のオリオール・パーク

6回、タープがかかるグラウンド。長い中断をまたいでも勝利は譲らなかった(スポニチ)

節目の意味――「メジャー1年目で二桁」到達の重み

今日の白星は単なる通算10勝ではない。メジャー1年目での二桁勝利は日本人投手として節目のマイルストーンで、昨年の今永昇太に続く快挙だ。数字の整理記事や、スポニチの特集もこの意義に触れている。巨人時代から「試合を壊さない」ことにかけて天下一品だった右腕が、環境もボールも違う舞台で、その美学をアップデートして結果に変えた――それが今日の10勝目だ。

現地写真で振り返る――雨とオレンジの夜
菅野智之の躍動

投げ急がず、攻め急がず。メジャー1年目らしからぬ”間”でゲームメイク(Getty Images via BASEBALL KING)

SNSの評判――ファンが拾った”ディテール”が熱い

試合直後、タイムラインは祝福の言葉と細かな観察で溢れた。「球数81、配球が完璧」というポストには多くの共感が集まり、カット→スプリット→カーブの配球が打者の目線を上下に散らしたとするスレッドも拡散。メジャーの打者は速い球には速く、遅い球には遅く合わせてくるが、その狙い球の”時間”を奪うのが今日の菅野だった――という指摘は非常に的確だ。

また、現地メディアの速報に対しても、「長い中断で降板を余儀なくされても、仕事はやり切った」という反応が目立つ。AP配信を拾った記事のコメント欄でも、“rookie composure(新人らしからぬ落ち着き)”との声が相次いだ。

プロ視点の分析――「試合の設計図」を描いた5つのポイント

① 先手のストライクで”選択肢”を握る

初球ストライクでカウントを作り、追い込んでからはボール1個ぶん外す。これは巨人時代からの流儀だが、MLB球の滑りやすさを計算に入れ、外角低めの見せ球を増やしたのが今季のアップデート。今日もこの設計図がハマり、三者凡退×2回で試合を加速させた。

② カットとスプリットで横×縦の二軸

右打者の手元を食うカット、空中で失速させるスプリット――真っすぐを”見せ球”にしてこの二つを効かせたから、打球の多くは凡フライか詰まり気味のゴロ。被弾のリスクを最小化しつつ、球数も抑えられた。

③ 中断前の「最少失点管理」

六回は1死一塁、カウント1―1で降雨中断。続投すれば球筋が変わるリスクが高かった場面だ。交代の判断と「それまでに十分なアウトを稼いでおく」という投手側の備えが噛み合い、勝利投手の権利を確保できた。

④ 守備・走塁のバックアップ

四回の暴投間の進塁→重盗→適時打という”足で取った”点は、投手のテンポ維持に効く。投手の心理は援護が入ればゾーンで勝負しやすい。この攻守の相互作用が今日の勝ちパターンだった。

⑤ 「壊さない」姿勢の先にある攻め

“ゲームメイク”型の代名詞である菅野に、今季は必要な局面での見逃し三振が戻ってきた。絶対に打たせたくない場面でボールからストライクに入ってくるカットを投じられる胆力が、MLBの舞台で光る。

次回登板とシーズン見取り図

10勝5敗、防御率やWHIPは依然として改善の余地があるが、夏場に入ってフォームの再現性が安定。今日のように“等速×等間隔の配球”からズレを作ることができれば、QS率も自然と上がってくる。地区の優勝争いが激しさを増すなか、「壊さない」だけでなく「勝ち切る」ピッチングが求められる後半戦で、さらに白星を重ねたい。